夏と秋の間で・乙
「そっか・・・、ンじゃ珍しく豪勢に行こうと思ったが、またゲーセンで我慢するか?」



「小林さんの辞書には『部活』という言葉はないのですか?」



 わざと、嫌味らしく言ってみる。



 小林速人は、これでもバスケ部のエースだ。



 類まれなる長身と、小学校から山の中で鍛え上げられた俊敏な動きは、並みの高校生
レベルではまず追いつけない。



「ない!」



 ・・・・即答するなよ。



「ふ~ん、俺の前で、そのような口を聞くとはいい度胸だな?小林。」



 声は、後ろから聞こえた。



 二人で顔を向けると、そこにいたのは2メートルはあるのではないかと思われる大男。



 赤いラインの上履きから三年生だということが分かったが、そんなもので判断しなくとも、望巳も速人も大男が何者かを良く知っていた。





< 7 / 147 >

この作品をシェア

pagetop