夏と秋の間で・乙
梅雨とはいえ、毎日が雨続きというわけではない。
貴重な貴重な梅雨の合間。
その日は、梅雨の時期にしては珍しい快晴の暑い日だった。
主婦にとって、こういう日はたまった洗濯物を干したり、湿った布団を干したりと忙しい日になるのだが、高校生の望巳にとっては、ちょうどいい梅雨の中休みだった。
これで、学校も休みならばどこにでも遊びに行けるのにな・・・。
そう思いながらも本日はお休みには程遠い、ただの平日。
悲しいコトに、晴天の空を眺めながらやることは、蛍光灯が照らす教室の中で数式や英単語を眺めるだけだ。
せめて放課後ぐらいは誰かと遊ぼうと思ったが、バイクを走らせることができないぐらいの金欠状態と『給料日』前ということで結局どこに行くこともできず、仕方なしに望巳はタバコを持って、いつもの喫煙所に来ていた。
屋根もなく、一日晴れているのに、未だに地面が濡れているような日の当たらない湿気った喫煙所。
全校生徒が何人いるのか分からないが、わざわざこんな日にこんなところに来るのは望巳ぐらいだろう・・・。