夏と秋の間で・乙
「まだ、二人目なんだけどな・・・。」
「三ヶ月のうちに彼氏を二回も代えていれば、十分だよ。」
もっとも、ソレぐらいで噂にしてしまう俺たちに問題がないわけでもないが・・・。
「だって・・・しょうがないよ・・・。」
それは、小さな声。
だけど、確実に望巳に聞こえる声だった。
・・・・・・・『しょうがないよ。』
その言葉がどれだけの意味を持つのか・・・。
自分が踏み入れて良い言葉なのだろうか・・・。
「そういえば、早川さんってどうして転校してきたの?」
今さらという質問だったが、他にどうやって会話をずらせば良いのか、思いつかなかった。
「あの・・・もうすぐ7月ですよ?望巳くん。」
確かに、今聞く質問ではないな。
「まぁ、そりゃそうだな・・・。」
それじゃあ、次は何の会話を持ち出すべきか・・・。
隣にいるのがサンマだったら、こういうとき何の苦労もしないのだけどな・・・。
「まぁ、良いけど。」
「何が?」
「私が転校した理由だよ。言っておくけど他のみんなには、『親の都合』って言ってあるんだから、誰にも言わないでよ。」
・・・・どういうことだろうか?
「分かったけど・・・。」
だったら、俺にも親の都合と言っておけば良いのでは・・・。
どうせ、何気ない質問だったのだし・・・。