夏と秋の間で・乙
「私ね・・・前の学校、あまり行ってなかったんだ・・・。」
「・・・・・え?」
それは、あまりに意外な答え。
早川さんはこうしてみる限り、とても明るく可愛くて、友好関係もうまくやっているように見える。
そんな彼女が・・・不登校?
「なんかさ・・・高校生にもなってもイジメみたいな感じでさ・・・もっとも私も悪いことしたのかなぁ~・・・。とか思ったり・・・。」
「そうなんだ。」
あまりに信じられない出来事だったが、ウソを付く理由もないような気がした。
「まぁ、親の転勤って言うのも本当なんだけどね。」
それで、学校を代えたというわけか・・・。
だとしたら・・・。
「だったら、この前の友達は?」
麻美と呼ばれた女性。
そして・・・歩と呼ばれていた男性。
「あれは、なんていうか・・・一応、友達なんだけどね・・・。」
それを口にする早川さんが、あまりに暗くて・・・。
「あ・・・ごめん。」
望巳はあやまるしかなかった。
「うん・・・まぁ、そのうち気が向いたら話すよ。望巳くんが、その話を聞くには、まだまだ好感度が足りません。」
笑顔を向ける早川さん。
その顔は本当に可愛くて・・・。
なぜか、それにときめいた自分に、どこか亜紀に罪悪感を感じていた。