夏と秋の間で・乙



「いや、そんなに何度も乗るものではないから・・・。次はアレ行くよ。」



 楽しそうに亜紀が指差す先にはグルグル回る海賊船が・・・。



「お前・・・絶対、分かっていてやっているだろう?」



「えへっ、何のことかしら?」



 この野郎・・・。



 思いながらも、それほど悪い気はしなかった。



 望巳と亜紀はそれから次々と絶叫系を攻略していく。



 最初は、こういうものは回数をこなせばある程度なれるものだと思っていたが、とんでもない。



 縦と横のランダム運動は何度乗ってもなれるものではない。



 何でこんなものにお金出して乗るんだよ・・・。



「いや~楽しいね。」



「てめぇ・・・。」



 はしゃぐサンマをジト目で睨みつけてみるが、そんなものが通じる相手でないことぐらい重々承知。



「まァまァ・・・。次はどこに行こうか?」



 等と次の絶叫マシーンの物色を始める望巳にあるものが目に入る。



 あれは・・・・・・・。



「サンマ、あそこには行かないの?」



 自分が指差した先にあるのは黒い建物。



 看板には『ホラーハウス』と書かれている。



 血文字で書いてあるたり、いささか陳腐さは否めないが、サンマ相手だったら十分だろう。



「え?・・・あそこですか?」



 やはり、予想通りの反応を見せてくれる亜紀。



 今までの復讐をするなら、あそこしかない。



「せっかく来たんだし、面白そうじゃないか。行ってみよう。」



 サンマの手をつかみ進もうとすると・・・。



「あれ?」



 聞き慣れた声が聞こえた。


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