夏と秋の間で・乙
顔を向けると、そこにいたのは・・・。
「あ、早川さん。」
見知らぬ男性を横に連れて歩くお隣さん。
おそらく新しい彼氏なのだろう。
相変わらず、男の趣味が悪いというか・・・なんと言うか・・・。
「こんなところであうなんて、奇遇だね。」
「まったくだ。」
とは言え、テスト明けの初めての土曜日。
学校から、駅三つしか離れていない遊園地。
コレだけの好条件がそろえば、偶然出くわす可能性はゼロではあるまい。
さっきも、サンマの友達がいたみたいだし・・・。
「はじめまして、早川なのはさん?」
後ろからおずおずと亜紀が顔を出す。
一応、初対面とはいえ、同じ学校、同じ学年。
相手は噂の転校生。
顔ぐらいは知られているか・・・。
「あ、はじめまして太刀魚亜紀さん。今日はデートですか?」
なんだか、早川さんが敬語を使っている様子は、あまりに異質に感じた。
だいたい相手は同級生なんだから、敬語の必要はないんじゃないか?
「いや・・・まぁ、デートといえばデートかなぁ~?アハハハ・・・。」
何を照れているのやら・・・。