夏と秋の間で・乙

「そっちこそデート中だろう?」


「まあね。でも、もう帰るところだよ。」



「え?」



 ソレに対して驚いた声を上げたのは今まで黙っていた早川さんの隣にいた男のほう。



 どうやら、今はじめて聞いたことらしい。



「まぁ、私たちも少し回って帰るよ。」



 口にしたのは亜紀のほう。



「そうなんだ。それじゃあ、望巳くん、また後でね~。」



「ああ。」



 ソレだけを口にして、早川さんたちはどこかに消えていった。



「後で?」



 当然、聞いてくるわな・・・。



「家が隣なんだよ。」



 もちろん、それだけで『後で』なんて単語は出てこない。



 彼女が口にした『後で』と言うのは、明後日学校でという意味だろう。



 まったく、紛らわしい・・・。



「ふ~ん・・・。あのさ、あまり言いたくないけど・・・彼女、きっと望巳のこと好きだよ。」



 は?



 言うに事欠いて、何を言い出すかこいつは?



「何言ってるんだ、お前。早川さんの隣にいる男・・・あれは、どう見たって彼氏だろうに?」



「そんなの関係ないって・・・。望巳って変なところで鈍感なんだよ・・・。別に望巳は悪くないことぐらい分かっているけどさ・・・。そういうのって、私は罪だと思うよ。」



 それは・・・お前が俺のことを好きであることを今まで気付かなかったことを言っているのか?



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