タレントアビリティ
「あ、気にしない気にしない。ちょっと私もイラッて来るとこあったってゆーかただのジェラシー。ごめんね、そえ」
「いいですよ、逃がした俺が悪いんですから」
「それはそうよね。で、この人が走馬のお義母さん。漢字でどう表記するかは、分かるわよね」
「睦貴楠美です」
「くすみ、さんですか。……走馬から聞きましたよ」
「つい最近、言われたんです。『ボクはホントは、母さんの子供じゃないんじゃないのか』って。あの子、勘が強いから」
俯きながらそう言う楠美を添は見る。確かに走馬と似た部分はあまり無く、中学生の息子を持つ親としては若すぎる面もあろう。
しかし誰よりも彼女は走馬の母親で、誰よりも走馬を分かろうとしていて。それが何となくだけど、伝わってきた。
「その通りなんですよね。走馬には身寄りが無くて、私と夫で、引き取ろうって決めました。走馬がまだ幼稚園に入園する前の話です。もう、10年になります」
「失礼ですが、年齢は……」
「今年で32に」
「……わっかぁ、って痛っ!」
「いいですよ、逃がした俺が悪いんですから」
「それはそうよね。で、この人が走馬のお義母さん。漢字でどう表記するかは、分かるわよね」
「睦貴楠美です」
「くすみ、さんですか。……走馬から聞きましたよ」
「つい最近、言われたんです。『ボクはホントは、母さんの子供じゃないんじゃないのか』って。あの子、勘が強いから」
俯きながらそう言う楠美を添は見る。確かに走馬と似た部分はあまり無く、中学生の息子を持つ親としては若すぎる面もあろう。
しかし誰よりも彼女は走馬の母親で、誰よりも走馬を分かろうとしていて。それが何となくだけど、伝わってきた。
「その通りなんですよね。走馬には身寄りが無くて、私と夫で、引き取ろうって決めました。走馬がまだ幼稚園に入園する前の話です。もう、10年になります」
「失礼ですが、年齢は……」
「今年で32に」
「……わっかぁ、って痛っ!」