タレントアビリティ
「カレーパン作ったから、お昼ご飯にどーぞ(はぁと)」
翌朝、能恵の代わりにあったのは、冷めたナンで作られたカレーパンと熱々の朝ごはんだった。
どうやら能恵は仕事らしい。いや、仕事というより依頼というか裏稼業というか、とにかく危ない事だけは確か。サランラップで包まれた3つ入りのナンをかばんに放り込み朝ごはんを掻き込む。
「国会、進展しないな」
代わり映えのない日常を流すテレビを切って、カーテンを開けて朝の日差しを迎え入れた。
風音のことをどうしようか。何もしないが1番だろう。さっさと朝ごはんを胃に収めて家を出る。ちょっと遅刻の危機だが、まあ別に気にしなくていい。
アパートの階段を下りていつもの道を歩く。学校まで徒歩5分という高立地の我が家からの通学路に、出会いも別れも何も無い。あるといえばそう、風音の処理。
さて、能恵の言葉を信じていいのかどうか。それが添には分からなかった。「もっと自信持てよ!」と昨日今日出会った地味な男に言われたところで、きょとんとされるかスルーされるかのどちらかだ。
それにたまたま屋上で出会った人の性格を変えようだなんて、いつもの自分からは考えられないと添は思う。才能の無い自分が、そんな事出来るはず無いし。
「無理だ、やっぱ。つーか何で俺はこんなに……」
「ストーカー真っ青ーっ!」
「うあああっ!!」
背後からのささやきに思わず声を上げる。振り返るとやはりというか何故かというか、白い髪の天才がいた。
翌朝、能恵の代わりにあったのは、冷めたナンで作られたカレーパンと熱々の朝ごはんだった。
どうやら能恵は仕事らしい。いや、仕事というより依頼というか裏稼業というか、とにかく危ない事だけは確か。サランラップで包まれた3つ入りのナンをかばんに放り込み朝ごはんを掻き込む。
「国会、進展しないな」
代わり映えのない日常を流すテレビを切って、カーテンを開けて朝の日差しを迎え入れた。
風音のことをどうしようか。何もしないが1番だろう。さっさと朝ごはんを胃に収めて家を出る。ちょっと遅刻の危機だが、まあ別に気にしなくていい。
アパートの階段を下りていつもの道を歩く。学校まで徒歩5分という高立地の我が家からの通学路に、出会いも別れも何も無い。あるといえばそう、風音の処理。
さて、能恵の言葉を信じていいのかどうか。それが添には分からなかった。「もっと自信持てよ!」と昨日今日出会った地味な男に言われたところで、きょとんとされるかスルーされるかのどちらかだ。
それにたまたま屋上で出会った人の性格を変えようだなんて、いつもの自分からは考えられないと添は思う。才能の無い自分が、そんな事出来るはず無いし。
「無理だ、やっぱ。つーか何で俺はこんなに……」
「ストーカー真っ青ーっ!」
「うあああっ!!」
背後からのささやきに思わず声を上げる。振り返るとやはりというか何故かというか、白い髪の天才がいた。