タレントアビリティ
「まーいっか。昔からだもんね、そーゆーとこ」
「分かってはいるんだな。まあ僕からしても君は変わらないよ。赤羽の事は感謝している。いつもありがとう、あっちゃん」
「いーのいーの。私もかなちゃんが惜しみなーく才能発揮してるの見て、嬉しいから。明洲さんの事は大丈夫。その人を見て判断して、どう弄るかは考えるね」
「それで彼の作風が変わっても構わない。ただ、今のままでは彼はまずいんだ。ピークからそのままだったりそうじゃなかったり、不安定なんだよ。まあ、会えば分かるさ」
「かなちゃんさー、私を誰だと思ってるの? 私に不可能は無い。それは間違いないんだから」
手を腰に当てて薄い胸を張って、自信満々に能恵は言った。根拠がありすぎる言葉に、思わず添はため息する。
やっぱり遠い。彼女は隣にいるのに、遠くて遠い。
「じゃ、私達はおいとまー」
「またいつか会いに来て欲しいな。そえ君、君は物書きになろうとは思わないかい? 君はいい何かを持っているように見えるな」
「それは気のせいですよ。僕には何もありませんから、言い過ぎですって」
「そうか。それを認めるか……。僕にはとやかく言う権利は無いが、仮にそういう方面を目指すなら、赤羽出版をよろしく。これは名刺だ。サインも入れておくからなかなかの貴重品になる。出版業界でない人がこれを手にする事はほとんど無い。紋所とでも思ってほしいな」
名刺を取り出してさらさらとサインを入れて印鑑を入れる。流れるような美しく独特な字が書かれた名刺を、添は有り難くいただいた。
将来的に就職などで有利になれるのだろうか。いくらかの言葉を交わす要と能恵を見ながら、添は名刺を財布に入れた。
「分かってはいるんだな。まあ僕からしても君は変わらないよ。赤羽の事は感謝している。いつもありがとう、あっちゃん」
「いーのいーの。私もかなちゃんが惜しみなーく才能発揮してるの見て、嬉しいから。明洲さんの事は大丈夫。その人を見て判断して、どう弄るかは考えるね」
「それで彼の作風が変わっても構わない。ただ、今のままでは彼はまずいんだ。ピークからそのままだったりそうじゃなかったり、不安定なんだよ。まあ、会えば分かるさ」
「かなちゃんさー、私を誰だと思ってるの? 私に不可能は無い。それは間違いないんだから」
手を腰に当てて薄い胸を張って、自信満々に能恵は言った。根拠がありすぎる言葉に、思わず添はため息する。
やっぱり遠い。彼女は隣にいるのに、遠くて遠い。
「じゃ、私達はおいとまー」
「またいつか会いに来て欲しいな。そえ君、君は物書きになろうとは思わないかい? 君はいい何かを持っているように見えるな」
「それは気のせいですよ。僕には何もありませんから、言い過ぎですって」
「そうか。それを認めるか……。僕にはとやかく言う権利は無いが、仮にそういう方面を目指すなら、赤羽出版をよろしく。これは名刺だ。サインも入れておくからなかなかの貴重品になる。出版業界でない人がこれを手にする事はほとんど無い。紋所とでも思ってほしいな」
名刺を取り出してさらさらとサインを入れて印鑑を入れる。流れるような美しく独特な字が書かれた名刺を、添は有り難くいただいた。
将来的に就職などで有利になれるのだろうか。いくらかの言葉を交わす要と能恵を見ながら、添は名刺を財布に入れた。