タレントアビリティ
「世界明洲の作品は、読んだことあるよね?」
「まあいくらか。あの人あんまり小説とか漫画とか書きませんから、それこそメジャーな『繊切りキャベツ大盛り!』とか『無言コミュニケーション』とか……。あと、画集が図書館にありました」
「どんな感じだった?」
「何と言うか……。一貫してないというか……。しっかりとした芯が無いみたいで、同じ作家とは思えませんでしたね……」
「それが彼の何よりの利点で欠点だって、かなちゃんは言ってるみたいなのよ。シリーズモノが書けないんだって」
「そういえばウインドノベルでも連載は不定期でなかなか見かけませんね。載ってる時も作風はまちまちで、この間はバトル物かと思ったら次は少女マンガっぽい画風になったり。どんな作家なんだろ……」

 比喩や誇張で言っているわけではない。とにかく彼の作品には一貫するものが無く、同一作家とは思えない。とにかくばらばらで一貫していないのだ。
 そしてそれが利点であり欠点。前の作品が絶賛されても次がそうとは限らないし、酷評されても次がそうとは限らない。そういう作家なのだ、彼は。
< 196 / 235 >

この作品をシェア

pagetop