タレントアビリティ
「明日会うから分かるんじゃない? かなちゃんのあの試験にもそえは合格出来た事だし、そえが対応出来る程度の人だよ」
「程度って……。まあそうだとは思いますけどね、最近俺に寄り付いてくるのって変な人ばっかりだし」
「そういう体質?」
「苦労が絶えませんよもう……」
「って事は1番変なのはそえじゃないのかなー。私って事はないだろうし、うーん、楽しいんならいいんじゃないの? 何も無いのがそえの特徴だってかなちゃん言ってたみたいだけど、私はそうとは思わないなー」

 首を左右に倒しながら能恵が笑って言った。その時運ばれて来た漬物と白米に感謝しつつ頬張る彼女を、添はやはり分からない。
 この人と自分には何か通じるものがあるというと、能恵はいつも添に言う。納得出来ないし能恵の過信だと思うけれど、果たしてどうだろうか。

「なーに? じろじろ見て」
「……何でもないですよ」
「そえも食べなさいよ何か。遠慮しなくていいんだから、そんなにさ」
「じゃあ何か頼もっかな。甘いものでも食べたいです」

 実際そうか分からないけれど、何となくそう言った。口の中の違和感を消したかったのかもしれない。料理は美味しかったけど、苦々しい気分だった。
 そしてしばらくして運ばれて来た抹茶あんみつは、半分食べただけで能恵にあげた。甘ったるかった。
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