タレントアビリティ
学校は特に、普段と何かおかしい事は無かった。時刻は10時半くらい。授業中のグラウンドは静か過ぎて異様に広く、体育もあっていないために怖かった。
「静か、ですね」
「……だよな」
辺りを見渡すものの能恵らしき人影は無い。静かな授業中のグラウンドを、とりあえず2人は横切って歩く。
「さっきの電話の相手の特徴を聞いたよ。真っ白な髪、だって」
「白髪ですか……。よほど老け込んでいるんですね」
「……さあな。とにかく、風音さんの才能目的みたいだから、それは何とかしてくれよ」
「何にも無ければ、それだけでいいんですが。でも実際見た様子だと、特に大きな動きは……」
『全生徒、職員に告ぐぅ!!』
キイイィィン、と。
ハウリングが発生するほどの大ボリュームでスピーカーから流れて来たのは、若々しくてどこか幼い女性の声だった。静か過ぎる授業時間を声が引き裂く。
風音の足が止まる。何が起こったのかすら把握出来ていない様子だった。添はその横で必死に考える。さあ、何が起こる?
『たった今ぁ、この学校は占拠したぁ! 校長室並びに事務室職員室全てに、リモコン式の爆弾設置かんりょーっ!』
それにしてもノリノリだ。
『全生徒全職員は、これから私の指示に従えぇ! まずは第一! 高二文理混合クラスの男子一名! グラウンドに向かえ!』
「俺のクラスだ」
『それ以外の連中は騒ぐな! そしてそのまま、プールに注目しなさい!』
瞬間、プールのほうから強烈な爆音が響き渡った。当然水柱が高々と上がり、そしてバケツをひっくり返したかのような水が大量に降ってくる。思い切り水を被った。
夏服の記事は薄い。隣の風音が大変な事になっている。添はちらちらとそれを見ながら、必死で記憶に叩き込んだ。
「……すげ」
「本気、なんですね……」
「綺麗な青だ……。っと、とにかく、その、俺のクラスの人が来るのを……」
「むーなしろっ!」
やっぱりこいつが来た。
「静か、ですね」
「……だよな」
辺りを見渡すものの能恵らしき人影は無い。静かな授業中のグラウンドを、とりあえず2人は横切って歩く。
「さっきの電話の相手の特徴を聞いたよ。真っ白な髪、だって」
「白髪ですか……。よほど老け込んでいるんですね」
「……さあな。とにかく、風音さんの才能目的みたいだから、それは何とかしてくれよ」
「何にも無ければ、それだけでいいんですが。でも実際見た様子だと、特に大きな動きは……」
『全生徒、職員に告ぐぅ!!』
キイイィィン、と。
ハウリングが発生するほどの大ボリュームでスピーカーから流れて来たのは、若々しくてどこか幼い女性の声だった。静か過ぎる授業時間を声が引き裂く。
風音の足が止まる。何が起こったのかすら把握出来ていない様子だった。添はその横で必死に考える。さあ、何が起こる?
『たった今ぁ、この学校は占拠したぁ! 校長室並びに事務室職員室全てに、リモコン式の爆弾設置かんりょーっ!』
それにしてもノリノリだ。
『全生徒全職員は、これから私の指示に従えぇ! まずは第一! 高二文理混合クラスの男子一名! グラウンドに向かえ!』
「俺のクラスだ」
『それ以外の連中は騒ぐな! そしてそのまま、プールに注目しなさい!』
瞬間、プールのほうから強烈な爆音が響き渡った。当然水柱が高々と上がり、そしてバケツをひっくり返したかのような水が大量に降ってくる。思い切り水を被った。
夏服の記事は薄い。隣の風音が大変な事になっている。添はちらちらとそれを見ながら、必死で記憶に叩き込んだ。
「……すげ」
「本気、なんですね……」
「綺麗な青だ……。っと、とにかく、その、俺のクラスの人が来るのを……」
「むーなしろっ!」
やっぱりこいつが来た。