タレントアビリティ
「1番認めてほしかった人に、風音さんの才能、認めて貰ってるんだ。風音さん、あんたは今まで何のために、屋上で練習してたんだよ? 今のためだろ? お父さんに聞かせて、他でもない自分だけの演奏で、楽しむためだろ?」
「添、さん……」
「弾けよ。こんな無茶苦茶な機会じゃなきゃ、ひょっとしたらもうこうやって、お父さんと面を向け合う事は無いのかもしれないんだ。ずっと練習してきた成果を、今見せてやれよ!」
我ながら苦笑する。結局自分は他人の才能が羨ましい、他人の欠点が羨ましい。才能があればそれを誇れる。欠点があればそれを乗り越えられる。何かがあって、無いものを埋める事が出来る。
添はそれが羨ましい。自分には絶対に無いものを持つだれもかもが、羨ましい。
「風音さんだけの、才能だろ!」
だから。
それに応えるかのように、風音は小さなバイオリンを構えた。
「添、さん……」
「弾けよ。こんな無茶苦茶な機会じゃなきゃ、ひょっとしたらもうこうやって、お父さんと面を向け合う事は無いのかもしれないんだ。ずっと練習してきた成果を、今見せてやれよ!」
我ながら苦笑する。結局自分は他人の才能が羨ましい、他人の欠点が羨ましい。才能があればそれを誇れる。欠点があればそれを乗り越えられる。何かがあって、無いものを埋める事が出来る。
添はそれが羨ましい。自分には絶対に無いものを持つだれもかもが、羨ましい。
「風音さんだけの、才能だろ!」
だから。
それに応えるかのように、風音は小さなバイオリンを構えた。