Rain
第1章

プロローグ



雨って嫌いだった。


ずっと大嫌いだった。


冷たいしうざいし濡れるし。





でもいつからだろう…?




あたしは雨の日にしか泣かなくなった。





泣き声は雨音が消してくれる。



外に出て泣いても…結構気持ちいいんだ。


バカみたいだけど、案外さっぱりする。




ずぶ濡れになって冷たいけど…


なんかね、全部流してくれるような気がして。






思い出も涙も。
悔しさも切なさも。
あいつの…ぬくもりも。





雨が降れば思い出すんだ…。


だってあたし達の前にはいつも“雨”があったから。
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