Rain
『ごめんな、ちょっとタンマ』

『いいよ全然』





『はい、うん…えっ!?いや…今友達んとこ。うん、はぁ?お前自己中満開やな…。分かった。うん、行けばいいんやろ?うん。はいはい、ほんじゃーな』







電話の会話が耳に入ってくる。


イタイ…
心が壊れそう…







『ごめん行かなあかんわ…ごめんな、寝るまでおったるって言うてたのに』

『いいよ。ちょっと言ってみただけやし。体しんどかったから誰かそばにおってほしかっただけやから。でももう熱も下がったっぽいし余裕☆』

『そっか、良かったわ。じゃあ俺行くな。また…電話するわ』








聖夜くんを玄関まで見送ったあたしは気付いた。



“雨”はあがってた。

彼女の嫌いな雨…が。





帰っていく聖夜くんの後ろ姿を、あたしはただ見ているしかなかった。








部屋に戻って熱を計る。



36.7度。






体はもう大丈夫。

ほとんど治ってた。






でも…心が…苦しかった。
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