Rain
一人家路につく。


暗い部屋の電気を自分でつけるのは、やっぱり寂しいものだった。




あかりの灯った家って、あたしにしてみれば最高の城やって思ってたから。





昔はお母さんがいた。


あたしが帰ったら「おかえり」って言ってくれた。



でももう…お母さんはいない。





陸の言葉を思い出す。

自分の気持ちを知っておくことも大切なことだって。



あたしは自分の気持ち…分かってるのに。

でも自分でその気持ちを殺そうとしてた。






でもそれは綺麗事だった。

人を好きになるってことは、綺麗なことばかりじゃない。


腹の底の汚さは誰しもが持ってるんだ。
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