Rain
一人で部屋を出たあたしの目には朝の光がやけにまぶしく感じた。





自転車に乗って帰り道をゆっくりこぎながら思った。




神様なんて存在しない。


もし存在するならあたしのこといじめて楽しんでるんだろう。


たくさんの壁を乗り越えてきたあたしに、また新しい壁を与えるなんて…







家に着いたあたしは、仏壇のお母さんの写真に向かって言った。


『なぁお母さん…あたしの好きな人はまだあの子を好きかもしれへんねん。笑われへんやんな…。助けて…お願いやからあたしを守って…お母さんしかおらんねん…』





皮肉な運命の歯車は確実に狂い始めてた。




違う…始めから狂ってたんだ。

あたしを苦しめるために。







あんなことが起こるまでは…


あたしはまだ人を…

聖夜…あんたを信じてたよ。
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