Rain
『あ、ちょっと悪いんやけど君はあっちのロビーで待っててくれるか?知香に話があるから』

『分かりました。じゃあ知香待ってるわな』



聖夜はそう言うと歩いていってしまった。



話…?
あ、そうか。
そのために来たんだった。



『ちょっと来てくれるか。こっちやねんけど』



そう言いながらお父さんは広い長い廊下を右へ曲がるとさらに奥へと歩いていった。


そしてやっと着いたと思ったら、ドアを開けられ中へと通された。



いわゆる仮眠室兼パソコンとかデスクが並んでいるお父さん達の休憩場所だった。


シーンとしていた。

空気清浄機の音だけが
ウィーンと響いてた。





『で、話って何?』


あたしは昔から静かな空気が苦手。


『あ…。ちょっと検査を受けてほしいんや』

『何の?』


あたしがそう聞くと、お父さんは黙って書類みたいなファイルを持ってあたしの前に座った。



『これを見てくれ』


そう言ってそのファイルの中から一枚のカルテのようなものを渡してきた。
< 197 / 282 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop