Rain
薄れゆく光景の中…

あたしの目にハッキリと映ったのは…

香織の母親、あのおばさんだった。











次にあたしが目を覚ました場所は、病室のベッドの上だった。


あたしには階段から落ちたあの時からの記憶がない。


だから目を開けた時、すぐ横にいた聖夜を見て少しほっとした自分がいた。





『知香!?大丈夫か!?すぐ親父さん呼んでくるから』

『ちょっ待って…行かんといて…。なぁあたし何で寝てんの?誰か…に…あっ…突き落とされたんや…』




思い出した。

あたしはあのおばさんに階段から突き落とされたんだ。





『はっ!?嘘やろ!?看護婦さんには知香が階段から落ちて脳震盪起こして気失ってたみたいって言われたで?』

『違う…絶対突き落とされた。あたし見たもん。あの子の…香織の母親があたしを突き落として笑ってたのを』

『マジかよ…』



聖夜はそう言って唇を噛みしめていた。





その時あたしはハッとした。


あたし…

パンツにナプキンを付けていた。




なに…?

どうゆうこ…




一瞬あたしは怖くなった。



ザーザーと音がする。
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