Rain
雨が降ると嫌なことがあった。


いつもいつも
いつもいつも…



あたしから大切なものを奪っていく。

幸せを…壊していく。





一晩中泣き明かしたあたしのそばには、聖夜が何も言わずただずっと隣にいてくれた。



でも、仕事がある聖夜は朝になると病院からそのまま仕事に行ってしまった。




それからはずっと…

ただ一人でぼーっとしていた。



お昼になってもお父さんやおばさんは現れることもなく、少し頭も痛かったしおなかにも張りがあったあたしは、ただひたすら寝ているしかなかった。







悔しい…なんで…

静かな病室に一人でいると、また涙が出てくる。



一日たっても頭の中は整理がつかなかった。



おなかに手を当てながら思った。




あたしの中にいるはずだった赤ちゃん…

今はもういないんだね…


何の罪もない子が…




ごめんね…

産んであげられなくて…

ごめんね…






コンコンッ…

『あ、全然食べてないじゃない』


看護婦さんが病室に入ってくるなりあたしに言った。



食欲なんてあるはずもない。


朝も昼も口には何も入らなかった。
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