Rain
『もしもしぃ♪』


退屈で暇だったあたしは嬉しくてすぐに甘えた声で電話に出た。





『知香…お前香織になに言ってん!!』

『え…』



聖夜の声が耳に響いていた。明らかに怒っている声。



どういうこと…?





『知香の見舞いに向かってる時、病院着く寸前にあいつ道路に飛び出してきてんぞ!ブレーキ間に合ったからよかったけど』

『道路に…』


『なぁ知香、あいつは今少しのケガで出血しただけでも命取りになるねんで?出血も止まらんような体やねん』


『違…』

あたしは何も言葉が出てこなかった。



『自分から死んだら知香が許してくれるって…お母さんのしたこと許してくれるからって…あいつ泣きながら言ってた。階段から突き落とされたことも流産したこともあいつめっちゃショック受けてる。なぁ…あいつの母親のことはあいつには関係ないやろ?』




聖夜…なんなん…



『だか…』



あたしは喋り続ける聖夜を無視して電話を切った。


すぐに電源も切った。
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