Rain
『お父さん…』


あたしはノックもせずに勝手に入ってしまっていた。


『あっ…ちょっと待ってな…』


お父さんはあたしを見て慌てて目をこすった。




ボロボロだった。


よく見れば白髪も増えてるしひどいクマだってある。



疲れてんねんな…






お父さんはお父さんで抱えるものがいっぱいあったんだろうと思った。





不倫、離婚、再婚…。

お母さんの死、
同じ年齢の二人の娘、

因縁…。




二人の娘は同じ男を好きになって男も二人を好きになった。



あたしの流産、
香織の白血病…。



普通じゃ考えられへんやろ…

ありえへんやん…
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