Rain
『どうぞー』

『おじゃましまーす』


何でかドキドキしてた。

また熱あがるんじゃないかと思ったくらい。




聖夜くんはあたしの指定席、低反発の座椅子に座って、

『めっちゃ気持ちーこの座椅子!!』

って言いながらにこっと笑ってた。







あたし、男の子家に入れたのって二回目だった。

男に依存しない、そういうタイプだったし自分の場所はちゃんと保っておきたくて。


ここに初めて来た男の子も結局二回しか入れなかったし、デートも外か相手の家だった。



あたしの家は“あたし”の家だから。

まして彼氏でもない男を家に入れるなんてありえなかった。








それが…笑うよね。

彼女持ちの男を家にあげてるなんて。



ありえへんやん!!
って心の中で叫んでた。


それに…分かってたから。

彼女に会えなくなったからだって。

だから来たんだって…分かってたから。






だったらさぁ、
あたしのとこじゃなくて遊ぶのなら陸とか友達でいいんじゃないの?






でも言えなかった…


惚れた弱みだよね。

こういうのって不公平。

好きになったのが負け…みたい。
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