Rain
『うわーっ懐かし!!ぷよぷよやん』


恥ずかし…あたしのストレス発散法…
見られたくなかったかも…。



『もしかして?』

いたずらっぽくそう言って聖夜くんは笑った。



『うん…だいぶ。軽く三時間はしてたかも』

『長っ!!てかちゃんと寝とかなあかんやん。なぁちょっとキッチン借りていい?風邪に効くスペシャルメニュー作ったるわ』




スペシャルメニュー?




『えっいいけど…風邪ひどくなったりしいひんやんな?』

『おい!!』




あたし達は二人で笑ってた。

なんだか…今のこの瞬間が…すごく心地いい。







なぁ聖夜?

あたしの部屋のキッチンに立ったのは、聖夜…あんたしかおらんよ。

あたしに卵酒と鶏雑炊を作ってくれたのは…聖夜、あんただけやった。




優しさが嬉しくて。

でも優しさが苦しかった。


感じたことないくらいの痛みが…胸をズキッってしてた。






『できたでぇ。熱いから気をつけて食べや』


聖夜くんはそう言いながら運んできてくれた。




なんなんだろ…

人って体かしんどい時に誰かがそばにいるだけで、こんなにも安心できるものなんや…って思った。
< 57 / 282 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop