Rain
梅雨があけた夏休み、あたしは一人になった。



葬儀のことも何も分からなかったあたしは親戚中の人に頼りながら、たくさんの行事をなんとか乗り切った。





そして…初七日の日。






『知…香』


部屋に一人でいると後ろから懐かしい声がした。

あたしは体中の力が抜けて泣きそうになった。


振り返るとそこにはお父さんが立っていた…。






『何しに来たんよ!!』


でも、こんな言葉が次々に出てくる。


『あんたのせいでお母さん死んでんから!!』
『よく顔出せたな…帰ってよ!』






シーンとする部屋。




そのとき突然玄関から声がした。




『なぁもう帰ろうやぁ、雨降ってきたって、最悪やわぁお父さーん』






お父さん…?


お父さんはあたしの前に香典をおくと、お焼香をあげて静かにあたしに言った。






『大学卒業まではちゃんと学費も払うし養育費も出す。なぁ知香、お前…うち来んか!』

『えっ…』

『一緒に暮らさんか?うちのやつも知香の話したら一人やったら可哀想やしって言ってくれてんねん』






あたしは…父親の言葉に絶句だった。
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