Rain
なぁ…
どう考えたって不公平やん。


でもあの子も寂しかった頃があったんだろう…

そう思うとそれ以上もう何も言えなかった。






『お父さんが全部悪いねん…すまん…』


そう言って頭を下げた父は、その子と一緒に部屋を出て行った。



ほんまや…
全部悪いのはお父さんやんか。









でも血縁って怖いね。

親子って…
やっぱり気持ちは離れることができないのかなと思った。


あたしはマンションの廊下から、お父さんがあの子と並んで帰っていく後ろ姿をずっと見てたから…。



この時も…雨が降ってた。



そして、ふと幼い頃見た背中を思い出した。

お父さんの後ろ姿。



『ちぃちゃんバイバイ』って言葉。








また…置いて行かれたような気がした。



でもおかしいやん…
一緒に暮らそうなんて。

絶対無理やん。
ありえへんやん。





そんなん…
あたしお母さんに顔向けできひん。
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