Rain
お母さんが死んでからも、あたしはマンションに一人で残った。

親戚の人達にうちに来いうちに来いと言われたけど、お母さんの親戚は滋賀の人ばかりだったし、あたしは大阪にいたかったから。



友達とも離れたくなかったし。






しばらくしたら保険会社の人からの連絡もあったりした。


生命保険だった。

保険金が入ってきた。

受取人はあたし…。





複雑だった。

なんか…嫌だった。

人の命がお金に変わるなんてことが。







でもお母さんが残してくれたあたしへの財産。

そう思って受取証にハンコを押した。






あたし、一人でがんばろうと思った。

ずっと一人で…がんばった。





人間やろうと思えば何だってできる。なんとかやっていけるものなんだとこのころに気付いた。





もちろん学費や養育費はもらっていたけど、あとは学校行きながら毎日バイトして。



たまに何かあれば保険金をくずして使ったり。

でもほとんど保険金には手をつけなかった。
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