Rain
仏壇に飾ってあったお母さんの遺影に向かって、何回か話したりした。





『なぁ…お母さんは幸せやった?』って。



あたしにはいつも笑顔だったし、

『ちぃちゃんがおったらお母さんそれだけでいいねん』



って言ってたから。




お母さんの愛した人。

あたしのお父さん。



お母さんはどう思ってたんかな?




お母さん一回も悪口なんて言わなかったよね。


何で?
あんなにひどいことされたのに…。


『あんな奴死ねばいいねん』


…荒れてた頃、あたしがお母さんによく言った言葉。



それを聞いてもお母さんは笑ってた。



『知香、そんなことゆうたらあかんよ』って。



なぁ…お母さんは愛してたん?
あんなに傷つけられたお父さんのこと。


今になって思う。



あたしそういうところ…お母さんに似てるのかもしれないね。






あたしが好きになった聖夜…

あんたもそうだったもんね。




出会わなければ良かった。



そしたらあたし…

生まれてきたこと幸せに思えたのに。
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