Rain
『あたし大学行かんから』



父と進路のことで話していた時にあたしはそう言った。


あたしは働くことにした。




それが寂しがりなあたしにはいいと思った。

忙しくしてれば時間がたつのが早いし。







『何ゆってんねん。大学は行っときなさい。香織も知香もお父さんにとっては同じ娘や。同じだけのことしたらなあかんねん』




お父さんは反対してきた。





なぁ…
あたしとあの子を一緒にせんといて。


“したらなあかんねん”

って義務みたいな感情ならほしくない。








『ほっといてよ、あんたに関係ないやん。同じだけのことするならお金出してもらえたらそれでいいから。大学四年間分の学費に値する分くれたらいいだけの話やろ?』





あたしはそう言って父親の言うことは聞かなかった。

父はしばらく黙ったあと、電話ごしに『わかった』と言った。







あたしは分かってた。

父はあたしにお金を出すことを。

本当に四年間分のお金を払うってことを。






あたしに対してうしろめたさがあったからだと思う。




最後はいつも
『分かった』だったから…。
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