Rain
智也は、女の子を騙して彼女気分にさせるいわゆる“色ホスト”だったけど、あたしに似て寂しがりなところがあった。


人が好きで、人がいないとだめな子で。



智也もあたしと同じ片親だったから、あたしが昔の話をした時は黙ってあたしを抱きしめてくれた。


いい加減に見えて、智也は本当は優しかった。


そのギャップを好きになりつつも、あたしは過去のあつしのことやお父さんのことがあったせいで、智也にも見えない壁を作ってしまってたのかもしれない。





智也もどうせ…って。


だから依存したくなかった。

だって傷付くのが…怖かったから。





信じて傷付くなら信じなかったらいいだけやもん…







そう頭では思いながらも、心ではあたし…もう智也のこと信じてしまってた。





でもあたしが高校を卒業して、昼間は洋服屋で働くようになると智也との生活は逆になっていった。


夜のバイトも週二日だったけど少ししんどくなり始める。






そんな風に少しずつ変わっていく環境の中で、あたしは智也との距離を感じるようになっていった。
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