朝陽のもっと向こう側
夏希「さてと・・・たくさん楽しませてもらったし、私も帰ろうかな」

あゆむ「夏希さんっていい性格してますね」

夏希「あはは! 誉め言葉として受け取っておくわ」

あゆむ「ほんとにいい性格してるよ・・・」

夏希さんが談話室を去った後、僕は自販機でジュースを買って屋上に向かった。

屋上のドアを開けると、少しだけ冷たい風が頬をなでた。

あゆむ「今日はほんとに疲れた・・・」

あゆむ「ま、僕も楽しかったけどね」

あゆむ「夏希さんに・・・明日香さんかぁ」

今日起こったことを思い返していた。

その時。

??「鮮やかな夢を観て・・・」

あゆむ「ん?」

すぐそばから声が聞こえた気がした。

あゆむ「聞き間違い?」

僕は屋上からの光景を眺めていた。

??「眠れぬ夜・・・星が流れた・・・」

あゆむ「まただ」

やっぱり聞き間違いじゃない。
僕は声のしたほうに歩き出す。 ゆっくりゆっくり。

??「忘れない・・・この夢の軌跡を・・・」

あゆむ「あ・・・」

??「え・・・?」

屋上に干された洗濯物を挟んで、僕とその娘は向かい合う形になっていた。
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