朝陽のもっと向こう側
学校。

いつも通りの授業が行われている。

それにしても、あの東都病院の看護師さん・・・明日香さんだっけ。
あの人の彼が門崎だったなんて思いもしなかった。
それだけじゃない。
如月了、小泉真智、小泉真琴。
この学校にいて知らない者がいないほどの有名人たちが、
実はこんなに身近なところで繋がっていた。

・・・

・・・

その頃。
東都病院屋上。

??「今日もここにいたの?」

美緒「ここにいると、落ち着きますから」

??「私だったら、毎日同じっていうのも飽きちゃうけどな」

美緒「・・・ごめんなさい、嘘つきました」

??「ん?」

美緒「本当は、ここにいると何も考えずに済むからなんです」

??「何も考えずに?」

美緒「こうして空を見ていると、自分がここに存在しているってことも忘れられそうで」

??「・・・」

美緒「小泉先生? どうしてそんな顔してるんですか?」

真智「あ、ううん。 別に何でもないよ」

美緒「先生がそんな顔することないです。 せっかくの美人が台無しですよ?」

真智「・・・」

美緒「それじゃあ私、そろそろ戻りますね?」

真智「昔・・・」

美緒「え?」

真智「同じようなこと言った人がいたわ」

美緒「え? 美人だって話ですか?」

真智「その前。 空を見ていると何も考えずに済むって」

美緒「へぇ~、じゃあ私、その人とは気があうかもしれませんね。 機会があれば紹介してくださいね」

彼女はそう言って屋上を去った。

真智「・・・」

真智「機会があれば紹介して・・・か」

真智「でもね、いくら似ていたって、あんたとは別人なのよ。 京子ちゃんと明日香が違うように」

真智「本当は・・・過去に縛られているのは、祐なんかじゃなくて、私のほうなのかな・・・」

・・・

・・・
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