朝陽のもっと向こう側
あゆむ「・・・はぁ」

夏希「わかった?」

あゆむ「わかりましたよ・・・で、僕は病院で何をすればいいんです・・・?」

ため息混じりに夏希さんに問う。

夏希「それはまた明日言うわ。 今日のところは食べましょう」

それから僕は半ば自棄になって食べ続けた。
夏希さんが、僕の食べっぷりと自分の財布を見て青ざめるその時まで・・・

・・・

・・・

翌日。
結城高校。

あゆむ「で? 何しているの?」

尚人と学食に来ていた。
普段は弁当が多いが、昨日の尚人のおごり宣言をさっそく実行に移してもらうためである。
しかし、事情はややこしいことになりそうな予感だった。

尚人「何って・・・飯だが? 食わんのか?」

あゆむ「・・・」

尚人「せっかくのおごりなんだ。 残さず食えよ」

あゆむ「・・・」

僕の前に出されたのは、学食のランチではなく・・・

あゆむ「なんで尚人の弁当?」

尚人「おごりだよ。 昨日、材料を買ってきて俺が料理した。 立派なおごりだろ?」

あゆむ「・・・」

そう言う尚人は学食のAランチを口に運んでいる。

喉を鳴らして、おそるおそる蓋を開ける。

あゆむ「・・・ナンデスカ、コレハ」

尚人「おかしなこと聞く奴だな。 普通の弁当だろ」

あゆむ「・・・」

中から出てきたのは、およそこの世のものとは思えないほどの物体。

尚人の策に負けたくないので、なんとかすべて胃の中に詰め込んだが、
その強烈な後味は、結局放課後まで消えることはなかった。

・・・

・・・
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