朝陽のもっと向こう側
東都病院屋上。

メグ「いつまでもここにいると風邪ひくよ?」

屋上で空を見ていた美緒にメグが話しかけた。

美緒「メグちゃん・・・それに、白石くん?」

あゆむ「こんにちは」

メグの声に振り返った美緒に挨拶した。

メグ「また空見ていたの?」

美緒「夕陽って、綺麗だよね」

美緒はそう言いながら、再び視線を空に向ける。

メグ「そうだね」

あゆむ「僕も夕陽って好きだな・・・なんか幻想的っていうか」

美緒「え・・・?」

メグ「あんたからそんな言葉が出るなんて思わなかったわ」

メグはそう言うけど本当に、屋上から見たこの夕陽は綺麗だと思った。
この景色は僕も好きだ。

しかし・・・

美緒「綺麗だけど、私は好きになれないな・・・」

あゆむ&メグ「え?」

意表をつかれた。
正直なところ、ここで美緒がこう答えることを
僕は・・・いや、メグでさえもまったく予想していなかった。
それほどまでに意外な答えだった。

美緒「嫌いじゃないけど・・・決して好きでもない」

あゆむ「じゃあ、どうしていつもここに来るんだ?」

メグ「・・・」

美緒「・・・どこにも行くことができないからよ・・・」

美緒は小さくも力強い声で応えた。
一瞬怯んでしまった。
< 34 / 95 >

この作品をシェア

pagetop