朝陽のもっと向こう側
メグが重たい口を開く。

メグ「あの娘が学校に行きたがっているのは知っていたから。 なんとか叶えてあげたくて」

あゆむ「やっぱり病院抜け出したのか・・・」

メグ「失敗だったのか、それとも時期を焦りすぎたのかなぁ・・・」

あゆむ「・・・」

メグ「明日、どうしよっか?」

あゆむ「一応、病院には行こうと思う。 でも、夏希さんや楓さんから許可を貰ったほうがいいね」

メグを送っていき、僕は再び歩いてきた道を引き返す。

星が出ていた。
静かな夜に数えきれないほどの星が。

その時、僕は気付いた。

病室から見えるのは窓から見える、限られた景色だけど、
それでも屋上まで行けば、目に映る景色が変わる。

美緒にとっては、屋上という空間は大切なものなのかもしれない。
病室という限られた空間から、多少なりとも開放してくれる。
そんな唯一の外界だとしたら。

あゆむ「星か・・・」

どんな形をしているかも知らない星座に、
そしてその夜空に、美緒の顔が浮かんだ気がした。

・・・

・・・
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