朝陽のもっと向こう側
なんとか始業時間と同時に教室に入る。

教室には当然、僕以外のクラスメイトが席に着いていた。

メグ「相変わらず朝弱いんだね~。 今日は来ないかと思ったよ」

息を切らしながら僕も席に着くと、隣の席のメグが話し掛けてきた。

僕たちの通う「都立結城高校」は数年前まではまったくの無名だったが、
いくつかのことがきっかけで都内でも有名な高校になった。

それが、現在アメリカで活躍している「如月了」と言う人、
さっきの東都医科大学を主席で卒業した「小泉真智」、
小泉真智の妹で、料理のプロ「小泉真琴」、
そして、高校卒業後にプロダクションに所属し、現在も多岐にわたって活躍している「門崎祐司」。
これらの著名人がこの高校の卒業生であるためだ。

でも、正直な話、僕はそれほど興味をもってはいない。
と言うよりも、迷惑だと思っている。
彼らは今ここにいないのに、有名な学校だからというだけで、
その在校生である僕たちにまで過度な期待が注がれる。

先輩方に恥じないように。
その考えは、少なくとも僕にとっては迷惑でしかなかった。

あゆむ「朝が弱いんじゃなくて、夜に強いの。 だから夜遅くまで起きてるんだよ」

メグ「それでよく病気にならないよね。 すごいよ」

尚人やメグとは小さい頃から一緒だった。
いつもこの3人で遊んでいたのをよく覚えている。

砂の城を作ったり、公園で鬼ごっこをしたり。
今思うと、僕たちはあの頃から何も変わっていないかもしれない。
あの頃のままで高校生になったような感じだ。

尚人「こいつは昔からこうだったからな」

いつの間にか後ろにいた尚人が会話に入ってきた。

あゆむ「尚人、先に行くなら起こしてくれてもいいのに」

尚人「よく寝てたからな。 寝言なんかも言ったりして」

メグ「へぇ~、どんなの?」

尚人「それはだな・・・」

あゆむ「尚人! 言わなくていい!」

尚人「冗談だよ。 そんなマジになんなよ」

あゆむ「ったく・・・」

メグ「・・・冗談か」

あゆむ&尚人「・・・」

どうしてメグさんはこんなに落胆した顔をしてらっしゃるのですか??

ほどなく始業のベルが鳴り、クラスの連中は席に着いた。
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