朝陽のもっと向こう側
昼休み。
結城高校。

慎二「ねぇ、尚人・・・あゆむ、どうしちゃったの? 朝から元気ないけど」

尚人「さぁ。 俺も今朝から話し掛けているけど、ずっとこんな感じ」

慎二「あゆむ~? 食べないの?」

あゆむ「・・・」

尚人「やめとけ、慎二。 何言っても意味ねぇよ」

・・・

・・・

放課後。

尚人「俺、先に帰るな?」

あゆむ「・・・」

尚人「・・・結局、一日中このままかよ・・・」

・・・

・・・

別に尚人や慎二のことを無視していたわけじゃない。
ただずっと、昨日の美緒の言葉が胸につかえて離れなかった。

僕は今まで美緒ほどつらい思いはしたことがないと思う。
それ以前に、このときの僕は美緒の思いさえも理解できてはいなかったのだが。

僕は尚人や慎二が学校から帰った後、
しばらくして帰路についた。

帰り道-学校~自宅-

???「あら? あゆむ君?」

あゆむ「え?」

下を向き歩いていた僕に、
前から歩いてきた人が声をかけてきた。

あゆむ「あ・・・」

明日香「こんにちは。 今、帰り?」

あゆむ「はい。 あす・・・霧島さんは仕事ですか?」

僕の前から歩いてきたということは、病院に向かう途中なのだと思った。

明日香「明日香でいいよ。 あんまり上の名前で呼ばれないから」

あゆむ「どこかで聞いたような台詞です・・・」
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