朝陽のもっと向こう側
あゆむ「・・・昨日は、ちょっとした用事で」

美緒「そう。 明日からはまた来てくれるの?」

あゆむ「え?」

美緒は確かに言った。
いや、聞き間違いじゃない。

『また来てくれるの』と。
『また来るの』ではなく・・・

あゆむ「また行っても・・・いいのか?」

美緒「ひとりで病院にいてもつまらないし。 できれば、話し相手になってほしいかな・・・」

あゆむ「・・・」

あゆむ「・・・わかった」

美緒が望んでいる。
僕が病院に行く理由はそれで十分だ。

美緒「それじゃあ、私、先に行っているね」

あゆむ「あぁ」

そして美緒は歩き出し、
数歩歩いた所で立ち止まり、振り返った。

美緒「・・・なっていたんだから」

あゆむ「・・・?」

美緒「じゃあね!!」

・・・

・・・

そしてコンサートは滞りなく進み、終了した。

あの後、少しして会場内に戻った僕はメグに、美緒に会ったことを話したが、
美緒はメグのところには来なかったらしい。

僕たちはそのまま会場を出て、それぞれがそれぞれの帰路についた。

・・・翌日、僕は学校が終わったらすぐに東都病院に向かった。
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