朝陽のもっと向こう側
東都病院8階。

この扉の向こうに美緒がいる。

でも、なぜだろう。
扉に手をかけたまま、僕は開けることができずにいた。

やっぱり、何を話せばいいかわからないから?
それとも、前みたいに美緒が混乱することを恐れているのだろうか。

あゆむ「・・・」

楓「入らないの?」

あゆむ「あ、楓さん・・・」

楓「・・・」

楓さんは僕の姿を見ると、一つ呼吸を置いて言った。

楓「さっき検査から戻ってきた所で、今は寝ているよ」

あゆむ「あ、そうなんですか」

内心、ホッとした。

楓「寝顔、見ていく?」

あゆむ「え!? い、いいですよ・・・そこまでしなくても」

楓「せっかく会いに来たんだし、見ていけばいいのに」

楓さんはそう言って病室のドアを開けた。

楓「どうぞ?」

どうやら僕は入らなければならないようだ。
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