モラトリアム

―ママ―

電車の中でアタシは、
アイツの顔を思い出してはかき消し、

思い出してはかき消しの繰り返しだった。


真っ黒な瞳に、
アタシの顔が映っていた。

だけど、
バカにされたような、
すべてを見透かされたような


そんな視線だった。
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