モラトリアム
「ただいま」

玄関を開け、
リビングのドアを開けると、

ほんわり温かくていい匂いがした。

「ただいま、ママ」


「おかえり~。みて、塩ちゃんこ、おいしそうでしょう?」

ママは髪の毛をブラウンのシュシュでひとつにまとめ、

取り皿を出しながらアタシの顔を見た。


「うん。おいしそう」


「ホラ、着替えておいでよ。食べよ」


「うん」


アタシはドアを閉め、
自分の部屋に向かう。
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