モラトリアム
もう一度顔を上げると、

黒髪のアイツがギャル2人に逆ナンされていた。


……まただ。


黒髪のアイツはいつものようにシカト。


すると、
ギャルは腹を立てたのか、
無理やり右腕を引っ張ろうとしている。

さすがに驚いたのか、
アイツは首を横に振っている。


強く言うかと思ったけど、
意外と何も言えないタイプなの?


……なんか……


もう。


アタシはイヤホンを外し、
ズンズンと歩いた。

そして、
アイツの腕の左手を持ち、
思い切り笑顔で、

大きい声で言ってやった。
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