モラトリアム
「勘弁してよ~」


良かったって思った。


安心したからか、
アタシは彼の背中をバンバンと叩いた。

彼は迷惑そうな顔をして、背中を撫でる。

その時、
彼は腕時計を見た。

「やべ、バイト遅刻だ」

「バイト?」

「うん。週に3回ほどね」

「そうなんだ……よくここにいるから、バイトなんてしてないかと思ってた」


ふぅん……

とアタシは頭の中で勝手に納得して、

携帯を開いた。
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