モラトリアム
「いや……アタシだって渋谷に学校近いし、よく来るからたまたま見てただけで……」


あたふたって言葉がこんなに似合うアタシも、

なかなかいないだろってくらいに、

あたふたした。

急に振られた問い詰めにカナリ動揺して、

火照る頬を両手で押さえる。


すると彼は、

フッと笑い、


「なんか、ストーカーみたい。気持ちワル」


と捨て台詞を吐いて、背中を向けた。
< 95 / 99 >

この作品をシェア

pagetop