トライアングル

─風太side─

「…え?」

彼女はとても拍子抜けたような、でもショックを受けたような、そんな顔で俺を見つめる。

「だから…別れよう。俺、もうよくわかんないんだ。」
「わかんないって…なによ…。」

彼女は俯き、つぶやくように言った。

「…好きなのかよくわかんないんだ。それなのに付き合ってるのは俺にとってもお前にとってもよくないと思うから…。」

俺がそう言うと、彼女は無理に笑顔を作り、言った。
「そっ…そっか…。そうだね。」
「本当にごめん…それじゃ。」

俺はそれ以上、彼女を見ているのが辛くなり逃げた。
俺の背中を見つめながら彼女が涙を流しているのに、俺は気付いていた。
(俺は…俺にはもうお前の涙ふいてやる権利なんてないんだ…許してくれ…。)
俺を心の中でそう呟き、自分が今してしまったことに早くも後悔を感じていた。
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