先生は私の青春でした
演奏会前日―


先生にチケットを渡す為に職員室に行った。

「谷口先生居ますか?」


先生の姿が見えなくて、周りに居た先生に聞いてみた。


「谷口先生ならさっき、どっかに出て行ったよ。すぐ戻ってくると思うんだけど」


(どうしよ…。すぐクラブ行かなきゃいけないし…)


でも、直接先生に会わなくてほっとしている自分に気付いた。


先生に、見に来てほしいって言うのが恥ずかしかった。


先生を待つことも出来なくて、先生の机の上にチケットを置いておくことにした。


『よかったら見に来て下さい。   田中さくら



誰が置いたらわかんないかなって思って一言だけメッセージを書いた。



先生が気付いてくれますように…。
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