曖昧-aimai-
「ユキ。」

「え??」

「ユキさんじゃなくて
ユキって呼んで。」

じっとあの切なげな瞳に。
見つめられた。

「あ・・・」

そらせない。
この人の瞳はそんな力を
持っているから。

「ユキ・・・・・??」

極限に小さい声で呟くように
ユキと呼んだ。


「なに??れえ」

またにこっと。
私に笑った。

「・・・・・ばか。」


こんな些細なことが
こんなに嬉しいなんて。
なんて感情に表せばいいのかな。

あの頃の私は気付きたくなかった。
恋だってことを。
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