曖昧-aimai-
「え…??」

「俺の小さい頃の話なんだけど。」


ユキが7歳の時。
両親が離婚した。
理由はお互いの浮気。

「よくあったんだよ。
2人ともいない日とか。」

親父の前ではしない化粧。
甘ったるい香水の匂い。

苦痛でしかなかった。

俺は部屋で1人本を読む。
ドアがバタンと閉まる音を聞くと
子供ながらになぜか安心した。

家はそれなりに裕福だったから
欲しい物はなんでも買ってもらえた。買えるものは。
俺が本当にほしかったのは母親の手料理で。
本当にしたかったのは父親とのキャッチボール。


「離婚が決まったとき俺をどっちが引き取るかで揉めてたよ。
2人とも俺を引き取るつもりはなかったからね。」
毎日のように続く口論。

「あんな子いらないわよっ!!」

「俺だっていらないさ!!」

俺は部屋で布団被ってたんだけどこの声は聞こえてきたよ。
7歳のガキにも理解できたし。

そん時に思ったんだ。

ああ俺はいらない子なんだなって。

そして結果的に俺は施設に預けられた。

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