my name
朝はあたしが起きる頃にはもう家を出ていていない。
夜も必ず夕飯の時間より後に帰ってくる。
そして学校でも家でも、あたしは避けられていた。
目も合わせてくれない…。
一瞬合ってもすぐにそらされてしまう。
怒ってるよね…。
謝ってくれたのに突き飛ばして逃げちゃったもんね。
謝らなきゃ。
でも避けられてて話し掛けづらいのもあるけど。
気まずくて。
だって抱き締められたんだよ!?
あたしを落ち着かせる為にしてくれたのかもしれないけど。
男の人に抱き締められたのなんて初めてで。
『ごめん、空』
名前を呼ばれることは嫌なはずなのに。
早く忘れたいはずなのに。
耳元で聞こえた切ないあの声は
何度もあたしの頭の中に響いていた。